遺言作成時に注意したい「遺留分」

<遺留分とは?>

 遺言書による被相続人の意思は法定相続に優先します。
しかし、推定相続人として相続することに期待をもっている人に全く遺されないというのは、酷な話です。そこで民法では、「遺留分」という相続人が財産をもらえる最低限の割合を定めています。(民法1028)

 遺留分を持っているのは、配偶者、子供、親です。兄弟姉妹に遺留分はありません
その割合とは以下の通りです。

直系尊属(親)のみが相続人である場合、被相続人の財産の3分の1。

その他の場合(配偶者と子供、配偶者のみ、子供のみ)、財産の2分の1。

たとえば、遺言者が「財産の全てを愛人の○○さんに」という遺言を残し、財産の全てが○○さんに渡ったとしても、上記①②の相続人が存在している場合は、その相続人は「遺留分減殺請求権」という権利を行使することによって、自らの侵害されている遺留分を取り戻すことができます。

遺留分減殺請求権は、請求権者が、相続が開始したこと、及び自身の遺留分が侵害されていることを知ってから1年間行使しなければ消滅します。また、知ったか知らないかに拘わらず、相続開始から10年経過しても消滅します。(民法1042

 遺留分を侵害する遺言内容でも、減殺請求権をもつ相続人が請求権を行使しなければ、遺言とおりの分配がなされます。しかし、なるべく遺族や受贈者に面倒を残さないためにも、遺留分については配慮したうえで遺言書を作成した方がよいでしょう。

遺留分の算定や、取り戻しのできる財産(遺留分侵害にあたる贈与や遺贈の対象)の確定には、少々面倒な計算や知識が必要となりますので、専門家にご相談することをお勧めいたします。

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